【1】健康住宅、材料に対する考え方は?
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基本的には私たち人間が創り出したもの(加工材)で建築材料に限っては耐久性や安全性(健康)に優れているものは非常に少ない。もともと自然界にあるそのものの形をなるべく壊さず、そのまま生かすことが一番よいのではと考えます。近年自然エネルギーが有効に利用されるようになりました。太陽熱、風力、地熱、小さいものは雨水までも、これらも同じことが言えるのではないでしょうか。
人間の創り出したものは万能的・・・な考えは完全なおごりで、人間も自然界の一部だということを忘れてはならず、自然からの恩恵を授かるという謙虚な気持ちが必要だと思います。
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【2】行政のVOC(揮発性有機化合物)対策に対する思いは?
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業界の反感を意識している所が少なからずあり、悪いものは悪い。その量どうこうよりも、悪いものは排除し、使わせない気持ちがほしいです。
今のままでは単なる代替品が出来るだけで解決にはなっていません。VOCを発生するものは使いません。現在の法律はハウスメーカーや建材メーカーの救済措置にしか見せません。
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【3】材料の選択方法は?
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従来の苦い経験からすると、メーカーの言葉を鵜呑みにせず建築材の成分表を提出させたものを使用します。もしくは古くからの実績のあるものを使用しています。
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【4】建物の仕様、選択理由は?
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外壁
(1)杉下見板植物性油塗
下見板は外壁材の中で建物を呼吸させるという点ではこれ以上のものはないと思います。特に杉は水分は吸放湿性が強く、又素材自信の伸縮が非常に大きい、晴れた日と雨天では、10〜15mm程の動きが見られ晴れた日には材が縮むため重ね合わせが少なくなり風が取入れやすく、雨の日には逆に重ねが多くなり、雨・風が入らない。建物が呼吸するとはこのことです。
(2)珪藻土(シルタッチ)
建物の寿命を考えるとサイディングは使わない、今は珪藻土を使いますが。
ただし珪藻土は自分自身では硬化しないのでつなぎをいれます。つなぎには樹脂系のものとセメント系のものがあり、環境と自然素材という点を考えると後者を選ぶべきですが、外壁には気候条件の差が激しい北陸ではひび割れが多く、樹脂系を使用しています。
内壁
(1)漆喰塗り
漆喰は機能性はもちろんのこと、これだけ風合いの良いものは壁材ではないと思います。原材料の石灰の白色はその表面の色のもうひとつ奥に柔らかさをもった色が存在します。一瞬しか見ることができませんが、完全に乾ききるほんの数日間の表情は職人のみが味わうことのできる特権です。
難点は、白色の見た目の冷たさを感じる方もおり、杉羽目板を使ったり漆喰のバランスにも気を配っています。
一般的に使われているほとんどの漆喰が既調合(出来合いのもの)ですでに防カビ材を使用しているため、従来の石灰と、ふのり、麻スサで大きな釜で煮ます。
本漆喰は原料がはっきりしており安全性の高いものです。
(2)珪藻土
内装には外装と違ったメーカーを使用しており、健康にも配慮し、つなぎにはセメント系の主成分のものを使います。
自然素材全てが良いとは考えていません。まがいものも存在するので、選択にはかなりの検討が必要です。
(3)杉羽目板
よくパイン材がでまわっていますが、外材は一切使わないというポリシーをもっているので、主に杉羽目板を使用。
杉は比較的柔らかいですが壁につかうには充分な硬さをもっています。
広葉樹のようなあまり硬い木を使うと木の暖かさを損ねるので杉は適した木材と思います。
床材
(1)能登ひばフローリング
厚さが24mmあるため、合板と比較すると冬場に素足で歩いても冷たさを感じません。 建て主さんのほとんどがスリッパを使わず素足で過ごしています。
床材は一番激しく使われ傷みやすく、そして人間の体に直接、常に接するものです。 一般的に天井や壁にはコストをかけるますが、床材は意外とかけないことが多いです。 本来コストをかけるべき所でないか、コストをかける所、又かける必要のない所の見極めもローコストにつながるのと思います。ぜひ一度このフローリングの気持ちよさを味わってほしい。難点がむく材に付きまとう「すきま」が多少気になるが見た目をとるか、健康と気持ちよさをとるか選択しなければならない、私が気にするほどほとんどの建て主さんは気にしていない。逆に木が生きている証拠ですと、言われ納得することがよくある。住む人の方がよさをよく知っているのです。
躯体
(1)通し貫工法
4寸×7分の大貫を柱から柱へと貫通させ、全て楔(うぐいす)で固定させる筋かいのように要所、要所にいれるのでなく、外周の壁全てが耐力壁になるのです。通し貫は古くからの日本に伝わる耐震工法あり、長い実績のあるこの工法は伝統的建築物のほとんどが工法で造られています。
(2)基礎パッキン
基礎と土台の間に床下の通気と土台の湿気の影響を考え、ステンレス製の基礎パッキンを使用。
断熱材
<天井>
羊毛を使っている。グラスウールは施工者側も身体の負担が大きく、後々の廃棄のことも考えます。(ホウ酸処理が課題)
<壁>
土壁 非常に畜熱性が高く、薪ストーブなどとの相性が良いです。土壁は温まるまで多少時間がかかりますが、一度温まるとほんのりとした自然の暖かさがいつまでも残ります。 床サニーライトから炭化コルクに切替えています。基本的に石油製品や化学物質を発生させるものは使いません。 環境を考えると、今まで普通に使っていたものも変えざるを得ません。
<気密>
ほとんど求めていません。極論ですが、家は多少すきま風があるくらいのほうが良いように思います。全てデーターで済んでしまう家づくりに疑問をもちます。
<開口部>
メインの部分に木製建具工事で製作することが多いです。その他アルミサッシでペアガラス。
<設備>
システムキッチンは木製(合板)かホーロー、ステンレスしか考えられないのでホルムアルデヒトの出ないホーローを多用します。
御影石等で天板をつくり、その下はオープンにしてつくることもあります。結構、掃除のしにくいところなので、評判は良いです。
風呂はひのきを壁にはることがよくあります。
<家具>
家具工事はどうしても高くつくので大工工事と建具工事で作っています。
居間のスペースには巾800×長さ2000〜2700×厚さ60〜90mmのテーブルをつくります。
簡単なつくりなのでお客様が自分でつくることもしばしば(指導はしますが)
市販品の10分の1ほどの価格でできるのでテーブルだけほしいという方もいます。
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【5】木材の流通は?
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能登ひばは穴水近郊でマアテ、クサアテが主流。杉は小松方面が多いです。松は量が少ないのでその都度になります。
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【6】自然素材のクレームはありますか?
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自然素材にはどうしても反りやすきま、割れ生じるため長所はもちろん、短所もすべてお話してから施工するので素材のクレームはない。
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【7】建材メーカーへの希望は?
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小手先の対処をやめて根本的な解決を、そのために先ず成分の表示を明確に。
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【8】土壁の気をつける点、職人の養成は?
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土壁は施工時期によってかびや草がはえることがあります。現場の換気と時期を検討する必要があります。最近のほとんどが柱の壁じゃくりをしていないので必ず設けないと予想以上に柱と壁の隙間があくことがあります。
職人の養成は大手と違いなかなかできません。ただ最近職に魅力を感じて働きにきている若い職人が増えました。賃金が良いことをいえば大手のハウスメーカーで働いたほうが絶対に良いはずなのに、若くても仕事にプライドをもっているのが良くわかります。仕事は仕事と割り切っている者が多い中、貴重な存在です。
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【9】創立年、資本金、会社はどこにあるの?
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会社の沿革ページにて紹介しております。ご覧ください。
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【10】以前、健康材料に関してメーカーの言葉を鵜呑みにして苦い経験をされたということでしたが、具体的にはどのような経験をされたのでしょうか?
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過敏症の患者の方で内部の水廻りにコーキングを使いました。メーカーのデーターでいくとホルムアルデヒトは検出されないはずが、水廻りに行くと気分が悪いと言われます。実際検査をしてみると、微量だが検出されたことがあります。たしかにデーターのほとんどが自主検査によるものなので、どうにでもなるのかもしれないと感じました。もちろん工事はその部分をめくってやり直しています。
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【11】「建築材の成分表をメーカーに提出させている」のは、どの建材・素材でも同じようにされているのですか?また、そういう工務店さんは少ないと思うのですが、メーカーの反応はいかがですか?
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実際のほとんどのメーカーが成分表の提出には反応が悪く、どうしても素性のしっかりとした昔からのものをつかわざるを得ない部分があります。ごく一部のメーカーは協力的ですが・・・・
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【12】外壁の杉下見板ですが、施工のポイントを教えてください。また、これは壁下地との間に通気層ができるかたちですか?
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よく外壁通気といって外壁の下地18mmほどの間に空気層をつくり、外壁の一番下から空気を取り入れる方法がありますが、下見板は外壁下のみならず外壁面全てから取入れることができるのです。イラストでも書けばわかれやすいのですが時間がなくてすみません。
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【13】内壁に珪藻土というのはよくあると思うのですが、あえて外壁に採用する理由は?
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現在、外壁材として考えられれるものはラスモルタル下地リシン吹付け、窯系サイディング、ガルバリウム鋼板、タイルぐらいで、内壁からみると非常に種類が少ないです。
サイディングは耐久性や特に後々の廃棄を考えると、リサイクルも利かず処分しようがありません。
リシン吹付けは従来から長い間に壁の剥離をおこし建物呼吸させず、寿命を短くさせます。
下見板は今一番、bestなもので珪藻土に関しては、betterでしかないと思います。これからの課題のひとつです。
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【14】漆喰の商品名を教えてください。
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既調合漆喰で良い場合は田中かべ、城かべ等本漆喰の場合石灰は田中石灰、すさは中塗用はマニラ麻上塗り用は富士、白雪など、のりは「つのまた」や「ぎんなん」で、ぎんなん藻等からつくられるのでメーカー名はありません。本来、天然素材は自然の恩恵をうけたもので、製造メーカーなどはありません。最近のしっくいは既調合が多く、防カビ材を含まれたものが多く、本漆喰が望ましいです。又中塗材も石膏中塗がほとんどで中塗も砂漆喰をつかうべきです。
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【15】内壁の杉羽目板の使い方の目安をおしえてください。また、漆喰とのバランスにも気を配っておられるということですが、そのバランスとは?
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従来の天然素材の家はやぼったい感じがすごくありました。天然素材をつかえば全て解決。ならば、ログハウスが一番わかりやすいでしょう。素材のなかにも繊細さがほしいものです。全て太い材がよいのでなく、強度が必要な場所には太いものを。造作等、線の細さを要求される所にはそういったものを。一般的には板材の量は全体の半分以下といわれています。
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【16】内壁に使用されている珪藻土の商品名を教えてください。また、選択が難しいとおっしゃられる珪藻土を選ぶ基準はどこにおいていますか?
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とくに珪藻土のメーカーは成分の提出を嫌がります。厳密に言うと樹脂のつかわれていないメーカーはありません。ものの微量というだけ。あくまで、他のメーカーの話ですが、某メーカーはデーターの通りの珪藻土の含有量とはかなり違うなどの話もよくきくことでありデーターが当てにならないのなら、なにをという感じで、選択が難しいです。最近では工業試験場で成分を調べられるので少しずつですが、実行にうつしています。何か矛盾だらけですが。
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【17】24ミリもあるムクの床板をはるコツを教えてください。実際に施工されている大工さんの声は
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先ず、従来の床貼りの感覚でやっていくと、いやになると思います。能登ヒバは無垢材の中でも一番貼りにくいと思われます。節があるので節の場所、場所で曲がったり、反ったりしているので、それをジャッキや特殊な道具を使って力づくで押えながら貼っていく作業です。合板フローリングがもし一日で5坪貼れるならば2坪ほどしか貼れません。いままでの作業風景と全く違うので、初めて見た方は何をやっているのだろういった感じでしょう。かなり昔の話になりますが、やりはじめ当初はかなり文句たらたらでしたが、今では、当たり前になっています。何でも一度楽をすると戻すのは大変です、建築すべてに、このことはいえるのでは・・・・
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【18】ステンレス製の基礎パッキンの商品名を教えてください。
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ダイカラット コボット岩本(国本商会)
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【19】羊毛断熱材の商品名を教えてください。
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ウールブレス ITNJAPN
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【20】天井には炭化コルクなどではなく羊毛を使うのはなぜですか?
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コストの問題と湿気の問題がない屋根裏では羊毛で充分だと思います。また、屋根裏には使うものにはある程度の厚さを必要としますが、炭化コルクを使用した場合、その厚みが取りにくくなります。
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【21】土壁はカビや草がはえるので「現場の換気と時期の検討が必須」とのことでしたが、具体的にはどのような換気をおこない、時期はいつが適していますか?
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なるべく天候の良い時期に施工します。雨の多い北陸では、どこでもやっていますが、足場に張ってある防護ネットが必要になります。これがないと、雨の日がつづくと泥壁が流れ落ち大変なことになります。
ただし、このネットが泥壁の乾きをおそくする要因です。風が通りにくくなるので、手間はかかりますがネットをまくったり、閉じたりが必要なのです。
コンクリートと一緒であまり寒い日に施工すると固まりきらず、ボロボロになることがまれにあります。時期の検討は必須です。
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【22】家具は夢工場さんオリジナルのものもつくっていらっしゃるのですか?
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杉材や松材を使ってテーブルはよくつくります、まだまだ手がとどかないのでこれからの検討です。
家具ではありませんが、木材は3尺の長さがあるものは全て使えますが反対に以下のものは処分しかされていませんが、この使えない材がかなりあるので、最近よく造るのが側溝の溝フタ。最近はほとんどスチールで作られたグレーチングが多いのですが、処分費も少なくなり、材料費は無料なので、休みを利用してつくりにこられる方が増えてきています、ただ材料を管理するのと、溝ふたとしてつかえるサイズにするのがかなり時間がかかるのが問題なのですが。
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【23】キッチンは下をオープンにされているとのことですが、収納はどこにつくっていますか?
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キッチンを造りつけにすると、ほとんどが「変に造りこまれたシステムキッチンはいらない。あとからその時代にあわせ、あまり造りこまれたものは反対に使いにくい」との意見があります。オープンにして自分で工夫できるスペースを残すことも、使いやすさにつながることもあります。扉をつけると、ほとんどのキッチンが出し入れもしにくく、掃除も不可能な状態になるため非常に評判が良いです。
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【24】お風呂の壁はよくヒノキにされていらっしゃるとのことですが、浴槽は?
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過去に何度かヒノキの浴槽を使いましたが、一般的には木材は縦に使うもので、水にあたる場所は横に使うのは好ましくありません。価格はかなり使いやすくなっているようですが、あえて推奨しません。
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【25】コストダウンのノウハウとして、市場で直接仕入れをされているそうですがこれは木材に限ったことですか?
それとも、ほかの建材についても同じようなことが言えますか?
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基本的には、材料と工事別途発注を心がけています。壁材などはuいくらだとどうしても高くなるので、材料をメーカー直接仕入れできるものを使い左官屋さんへ支給します。材工工事は工務店は楽ですが材料管理も出来ないし、コストも上がります。その他コストが下がる方法あれば随時教えてもらえませんか。
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【26】木材に関してですが、能登ヒバは穴水、杉は小松で直接製材業者から買いつけているのですか?
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そのとおりです。
具体的な方法は避けさせてください。
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【27】
また、能登ヒバは主に住宅のどの部分に使われているのですか?
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床下は全て、床材、タル木、土台、大引、束、根がらみ 湿気に気を付けなければ行けないところ。
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